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発達・文化心理学へのいざない
村瀬俊樹著
価格: 2,300円+税
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商品の紹介
[2026年4月刊行予定]
心理学概論や発達心理学を学ぶ大学生、人の心に関心のある読者を主対象とした入門書。心の基礎的な仕組みに関する研究成果を多数紹介しながら、心理学の扱うテーマを幅広く学べる構成とした。全12章。 心理学の研究法や心と文化の考え方について概説した後、第1部にてことばの獲得とその認知過程、誤信念の理解等を取り上げ、心の発達について論じる。第2部では、東アジアと欧米(特に北米)を比較した研究をもとに、認知の仕方や振る舞いの文化による違いと、それを成り立たせる仕組みを検討する。第3部では、こうした文化間の違いが、心の発達過程のどの時点から生じ、どのように世代間で受け継がれていくのかを、東アジアと北米の子どもたちを比較した研究をもとに論じる。 日常的な事例を中心に取り上げ、実験や調査の考え方・手続き等も含めて解説し、実証的なデータをもとに心を捉える視点を養う。心理学の幅広い領域を見渡しつつ、読者が自らの思い込みを見直し、自身や他者への理解を広げることを目指した好著。
[目次]
はじめに
第1章 心理学の考え方と心の発達・心と文化 心についての科学としての心理学 心についての関心の持ち方 個性を捉える/一般的な法則を明らかにする 心を研究する視点 個人的要因による説明/状況要因による説明/時間軸を加えた形成要因による説明 心の発達 発達とは/心の発達への関心の持ち方/発達心理学の方法 心と文化 生得説と経験説/文化とは/心と文化の関係を検討する目的/心と文化の関係へのアプローチの仕方 文化における心の発達 発達の最近接領域/ナラティブの内在化/発達カスケードの文化による違い 本書の目的
第T部 心の発達
第2章 ことばの獲得をささえているもの――ことばを話す前にことばの準備をしているもの―― ことばの話しはじめ 音韻の弁別 共同注意 ことばの発達をささえている子どもの力 養育者のことばの役割 共同的な関わりと子どもの注意に合わせた発話/応答性
第3章 ことばを獲得する認知過程――こんなにいろいろなことをしながらことばを獲得している―― ことばとそれが言及するものとの対応づけ 即時マッピング/社会―実用的手がかり ことばの般用 初期に獲得することばの般用/形バイアス 既知のことばとの関係 相互排他性仮定/対比の原則 状況横断的学習におけることばの獲得 統計学習/文脈の手がかりと文脈の多様性
第4章 他者の心の理解をささえているもの――他者は現実に対して自分とは異なる考えを持つのだということの理解―― 他者の心の理解とは 心の理論 誤信念の理解 実行機能の発達と誤信念の理解 実行機能とは/情動的実行機能/認知的実行機能/実行機能と誤信念理解との関連性 言語表現を含む他者との相互作用と誤信念の理解 共同注意・共同的な関わりと誤信念の理解/ことばの用法と誤信念の理解 他者の誤信念を理解するようになることをささえているもの 共感・察すること・他者に適切に振る舞うこと
第5章 アタッチメント――見守ってもらって外の世界に出かける、何かあれば戻ってくっつき気持ちを立て直す―― 安心感の輪 アタッチメントを形成するもの 敏感性/メンタライジング アタッチメントの個人差 ストレンジ・シチュエーション法とアタッチメントのタイプ/アタッチメントQソート法 内的作業モデルとアタッチメントの連続性 アタッチメントと関連するもの 社会的な状況における情報処理 様々な人へのアタッチメント
第6章 心の発達の考え方――様々なことがもとになって互いに影響し合いながら発達していく心―― 観察と実験 もっとも基礎となるものとしての行動観察/探り棒を入れることとしての実験 年齢に伴う変化とある能力の増大による変化 発達カスケード ある心のあり方をささえる子どもの内部での心の育ち/発達カスケードとは/ことばの獲得に関する発達カスケード 外部の要因の影響
第U部 心と文化
第7章 包括的認知と分析的認知――全体の関連性を見ることと焦点を絞って見ること―― 包括的認知と分析的認知とは 対象認知における背景・文脈の役割 中心的対象と背景への注意配分/長さの判断における文脈の役割 人の認知における特性の役割 特性とは/対応バイアス/対応バイアスの文化差/人を特性で捉えることの文化による違いはなぜ生じるか 特性の変化に関する暗黙理論 ものごとのまとめ方 素朴弁証法 矛盾に対する許容/変化を当然とみなす考え方/感情に対する考え方
第8章 相互協調的自己観と相互独立的自己観――他者がどう思うかを考慮して振る舞うことと自分はこう思うということをもとに振る舞うこと―― 相互協調的自己観と相互独立的自己観とは 自分に対する認知・感情・評価 自己認知/自尊感情/ポジティブ・イリュージョン/非意識レベルでの自分に対する態度/日本人の自分の捉え方 他者感情の認知 対人葛藤状況での対処方略 二重関心モデル/目標と対人葛藤状況での対処方略/日本人の対人葛藤状況での対処方略 排除回避と自己表現 制御焦点 促進焦点と予防焦点/制御焦点と文化
第9章 文化による心の違いが生まれ維持される仕組み――地域社会の特徴とまわりの人に想定する心の影響―― 社会生態学的アプローチ 生業形態 米作地域と小麦作地域の比較/農業従事者の割合による違い 関係流動性 関係流動性と自己開示/関係流動性と成功時の感情/関係流動性と相互協調的自己観・相互独立的自己観 想定された信念・態度
第V部 文化における心の発達
第10章 包括的認知と分析的認知への道筋――認知のあり方の違いは人の一生の中でいつどのように生じてくるのか―― 対象認知において背景や文脈が果たす役割 中心的対象と背景への注意配分/長さの判断における文脈の役割/関係性の認知と対象の同定 特性変化に関する暗黙理論 子どもにおける包括的認知・分析的認知に関する研究結果のまとめ 養育者による足場かけと子どもにおける内在化
第11章 相互協調的自己観と相互独立的自己観への道筋――自他のあり方の違いは人の一生の中でいつどのように生じてくるのか―― 他者からの影響の強さ 他者の行動の影響/人の表情の影響/成功時の気恥ずかしさ 謙虚さ 自己決定 自分の好みの表出 相互協調的自己観と相互独立的自己観 子どもにおける文化差に関する研究結果のまとめ ナラティブに見る世代間の伝達 ナラティブ/文化的な産物におけるナラティブ/大人が伝えるナラティブ
第12章 文化における心の発達――発達の道筋は日本と北米で異なるのか?―― 養育者の子どもへの働きかけ方 子どもへのことばかけ 言語の構造と心 物体と物質の区別/動物とそれ以外の区別/敬語 発達カスケードの文化による違い 残された課題
あとがき 索 引
[著者略歴] 島根大学名誉教授、放送大学島根学習センター客員教授 京都大学大学院文学研究科修士課程修了、同博士後期課程単位取得後退学、博士(文学)。島根大学法文学教授、同人間科学部教授などを務めた後、退職。 主な著書:『社会−文化的環境における子どもの語彙獲得』(多賀出版)、『子どもの発達心理学を学ぶ人のために』(分担執筆、世界思想社)、『心・理・学——基礎の学習と研究への展開——』(分担執筆、ナカニシヤ出版)、The Handbook of East Asian Psycholinguistics: Volume 2, Japanese(分担執筆、Cambridge University Press)。
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商品の詳細
ISBN: 978-4-7793-0802-4
判型: A5並
ページ数: 208
ジャンル: 心理
刊行年: 2026年4月
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