商品の紹介
[2026年3月刊行予定]
現代日本社会において誰しもが関わってきた「教育」を歴史的に俯瞰し、社会学の諸理論や実践からの視点を交えて解剖することにより、教育の「新しい」側面、意味をあぶり出す。子ども(2章)、学校の歴史(3章)、学校の機能(4・5章)、教育の実践(6章)、教育問題(7章)と比較的オーソドックスなテーマを掲げ、理論的、質的にアプローチすることにより、教育の閉塞的状況に風穴を開ける可能性を模索した意欲作。
目次
第1章 教育を学ぶ:分析概念を使って教育現象を読み解く(北澤毅) 1.教育の「何」を「いかに」学ぶのか 2.教育現象を解読する方法としての社会学 2.1.教育学と教育科学 2.2.社会的事実としての自殺率 2.3.個人の選択と集合現象との関係について 2.4.行為者の意志 と主体性について 3.常識とは何か:その重要性と危うさ 3.1.常識の重要性 3.2.常識の危うさ(1) 3.3.常識の危うさ(2) 4.常識を相対化する方法について 4.1.「知ること」と「実践する」こととの違い 4.2.常識を相対化するための2つの方法
第2章 子ども:「子どもらしさ」は社会がつくる?(高橋 靖幸) 1.<子ども>の誕生 1.1.「<子ども>の誕生」という問い 1.2.「子ども」という概念の形成 1.3.子どもの近代性への関心 1.4.子どもの「あ たりまえ」を見直す視点 2.日本における「子どもらしさ」の発見 2.1.西洋人の眼に映った日本の子どもたち 2.2.洋装化と近代的な「子どもらしさ」の発見 2.3.メディアが描く「子ども らしさ」と近代家族 3.保護される子ども 3.1.広がる近代的な子ども観とその偏り 3.2.保護は子どものため? 社会のため? 3.3.リスクのなかの子ども/リスクと しての子ども 4.20世紀における子ども観:児童中心主義と科学のまなざし 4.1.児童中心主義の理念 4.2.「児童の世紀」と科学の視点 4.3.子ども理解の変革と現代教育のかたち 5.科学の時代のなかの子ども:子どもの「自然な発達」への関心 5.1.子どもの能力を測るための知能検査 5.2.子どもの「自然な発達」を可視化する技術 5.3.発達段階という「常識」の 誕生 6.新しい時代の子ども理解の試み 6.1.発達論的子ども論の功罪 6.2.社会構築主義的アプローチによる子ども理解 6.3.多元的な子ども理解への道 第3章 学校の歴史:「閉じ込め」と「切り離し」の過程(水谷 智彦) 1.近代学校が普及する前の教育 1.1.学校の機能を歴史から問う 1.2.徒弟方式による教育 1.3.正統的周辺参加 2.教育を分業する 2.1.モニトリアル・システム 2.2.垂直的分業 2.3.水平的分業 3.一斉教授の起源と原理 3.1.モニトリアル・システムの限界 3.2.ギャラリー方式 3.3.一斉教授と一斉応答 4.近代公教育の理念と実態 4.1.擬洋風建築の学校 4.2.近代公教育の理念 4.3.就学率と卒業 4.4.小学校の実態 5.身体の近代化 5.1.子どもの身体の近代化 5.2.時計化された時間と身体 5.3.言語の統一 6.大衆教育社会の成立 6.1.戦後教育改革 6.2.大衆教育社会の成立 6.3.大地からの切り離し
第4章:学校の統合機能―学校は何に失敗し、成功しているのか (稲葉浩一) 1.統合装置としての学校:ある矛盾から 1.1.学校に通うとロボットになる? 1.2.ルールと不自由 2.望ましさを伝える装置としての学校 2.1.世界の地図と学校 2.2.偽装としての「望ましさ」 2.3.「望ましさ」の伝え方 2.4.ひとつのところに集める「力」 3.人をつくりかえる装置としての学校 3.1.児童の「完成」 3.2.規格化された「個性」 4.学校の失敗と成功:児童がロボットでないのなら 4.1.一望できる社会 4.2.主体的であることとは? 4.3.私たちは完全に統合されるのか?4.4.抵抗する主体の効用
第5章 学校の分化機能――教育格差を論じるための視点(数実 浩佑) 1.学校教育のもう一つの機能 2.機能主義という視点:学校の機能不全を明らかにする 2.1.機能主義とは何か 2.2.教育の機能とは 2.3.教育の機能不全 2.4.機能不全に対処する 3.葛藤理論という視点:学校は不平等を再生産し、正当化する 3.1.葛藤理論とは何か 3.2.葛藤理論の目的 3.3.葛藤理論としての文化的再生産論 3.4.葛藤理論としての文化的再生産論 4.機能主義からみるアファーマティブアクション 4.1.アファーマティブアクションとは何か 4.2.アファーマティブアクションの目的 4.3.アファーマティブアクションの 逆機能 5.葛藤理論からみるアファーマティブアクション 5.1.補償教育の問題点 5.2.大学進学のアファーマティブアクションの問題点 5.3.正義の分配的パラダイム批判 6.理論という「色眼鏡」を二つ用意する
第6章 教育の実践:教育の相互行為の解剖(粕谷圭佑) 1.実践を社会学するとは 2.授業という状況 2.1.印象管理としての教育実践 2.2.「授業を受ける」ための方法 2.3.状況の定義と授業秩序の管理 3.教師という存在/児童という存在:役割概念 3.1.役割という規範 3.2.感情管理という見えない労働 3.3.教師であること・児童であることを「する」 4.学校ではなにを学ぶのか 4.1.カリキュラムに書かれていない学び 4.2.内容知と方法知 4.3.方法と意識 5.授業をつくる会話の実践 5.1.授業中の沈黙 5.2.授業における発話の特殊性 5.3.「発言のしにくさ」を生み出す要素 5.4.教室内の能力 6.教育実践の解剖からその先へ
第7章 教育問題―誰が・何を・どんな問題として語っているのか?―(今井 聖) 1.教育問題を問い直す 1.1.「教育問題」とは何か 1.2.常識を相対化する 1.3.社会問題の構築主義 2.いじめ問題の再定義 2.1.いじめの発生/認知件数 2.2.中1から小2の問題へ? 2.3.解釈実践の産物としてのいじめ 3.社会現象としての発達障害 3.1.「発達障害の可能性のある」児童生徒とは何か 3.2.本質主義に抗う戦略としての構築主義 3.3.逸脱の医療化 3.4. 個人化を避けながら、個別性に向きあう 4.「不登校問題」の語られ方 4.1.新しい問題としての不登校 4.2.学校ぎらい、学校恐怖症、登校拒否 4.3.登校拒否問題の認識の転換 4.4.学校に 「行かない」子どもの再発見 5.教育の実践者として教育問題を観察する
編著者紹介
北澤 毅(キタザワ タケシ) 立教大学名誉教授 主要業績:北澤毅, 2015,『「いじめ自殺」の社会学−「いじめ問題」を脱構築する』世界思想社、北澤毅・間山広朗編, 2021,『囚われのいじめ問題−未完の大津市中学生自殺事件』岩波書店、北澤毅, 2025,『「教育問題はつくられる」−構築主義的な読み方・解き方』時事通信出版局。
高橋 靖幸(タカハシ ヤスユキ) 新潟県立大学人間生活学部准教授 主要業績:元森絵里子・南出和余・高橋靖幸, 2020, 『子どもへの視角−新しい子ども社会研究』新曜社、元森絵里子・高橋靖幸・土屋敦・貞包英之, 2021, 『多様な子どもの近代−稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』青弓社、高橋靖幸, 2024, 『児童虐待の歴史社会学−戦前期「児童虐待防止法」成立過程にみる子ども観の変遷』勁草書房。
粕谷 圭佑(カスヤ ケイスケ) 奈良教育大学教育学部准教授 主要業績:粕谷圭佑, 2019, 「『社会化』過程の再特定化− 幼稚園年少級におけるルーティン活動の相互行為分析」『教育社会学研究』105, pp.115-135、粕谷圭佑, 2023, 「一斉指導における教示理解の確認ー幼稚園の製作場面で用いられる否定誘発質問に着目して」『教育社会学研究』113, pp.49-69、粕谷圭佑, 2024, 「園児集団に向けた『一言の指示』の成立過程ー幼稚園年少級における『列になる』練習の経時的分析」『社会学評論』75(1), pp.2-19。
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