商品の紹介
学校現場では、いじめ・校内暴力・授業放棄・引きこもり・自殺など、学校病理と言われる状況が問題化されている。学校教育制度が子供にもたらす影響の大きさは、政治的利用の過去を繙くまでもなく、子供のみならず、国家・社会にとっても看過しがたい。そもそも子供にとって学校とは何か?国家・社会にとって教育とは何か?を根本から学校教育学の視点で見つめ直す。学校教育を作り上げている教育思想・教育原理を振り返り、それを体現する教師教育を視野に、教育課程、教育原理、教師論を展開する。
[著者略歴] 田沼 茂紀(タヌマ・シゲキ) 新潟県生まれ。上越教育大学大学院学校教育研究科修了。 國學院大學人間開発学部長。専攻は道徳教育学、教育カリキュラム論。 川崎市公立学校教諭を経て高知大学教育学部助教授、同学部教授、同学部附属教育実践総合センター長。2009年より國學院大學人間開発学部初等教育学科教授。2017年4月より現職。日本道徳教育学会理事、日本道徳教育方法学会理事、日本道徳教育学会神奈川支部長。 主な単著、『表現構想論で展開する道徳授業』『子どもの価値意識を育む』『再考−田島体験学校』(いずれも川崎教育文化研究所)、『豊かな学びを育む教育課程の理論と方法』『道徳科で育む21世紀型道徳力』『未来を拓く力を育む特別活動』(いずれも北樹出版)等。 その他の編著『やってみよう!新しい道徳授業』(学研教育みらい)、『中学校道徳アクティブ・ラーニングに変える7つのアプローチ』(明治図書)、『道徳科授業のつくり方』(東洋館出版社)、小学校編・中学校編分冊『指導と評価の一体化を実現する道徳科カリキュラム・マネジメント』(学事出版)、監修『個性ハッケン!5巻組』(ポプラ社)等。
[目 次]
第T部 学校教育課程の意義と機能 第1章 学校教育における教育課程の役割とその充実 1.学校教育学の学問的な考え方とは何か 2.教育と学校教育の関係性について考える (1)公教育と私教育 (2)学校教育における教育課程の意義と位置付け (3)学校教育の内容としての学習指導要領 (4)「学校知」としての教育課程編成の考え方 3.学校と教育委員会との関係性について考える (1)教育委員会とは何か (2)教育における外的事項と内的事項とは何か 4.なぜ学校では教育課程が必要なのか (1)「人が人を教育すること」の意味と学校の教育課程 (2)機能的概念としての学校教育課程の考え方 (3)教育課程をカリキュラム・デザインするという考え方 第2章 学校教育の理念と教育課程の基礎理論 1.これからの学校教育が目指す「生きる力」とは何か (1)知識基盤社会における学校神話の揺らぎ (2)知識基盤社会における新たな学力観とは何か (3)生きる力としての資質・能力をどう理解して育むか 2.わが国の学校教育における学力観の系譜と現在 (1)学習指導要領改訂に見る学力観の変遷 (2)これからの学校教育で育む学びの力とは何か 3.教育課程編成に向けた基本理論について考える (1)教育カリキュラムの基本的な考え方 (2)カリキュラムの基本類型 (3)カリキュラム編成の基本型 4.教育カリキュラムと教科書との関係を考える (1)カリキュラムと教科書制度の在り方を捉える (2)教科書の利活用を巡る問題点と課題解決方法は 第3章 教育課程編成の実際とカリキュラム・マネジメント 1.学校活性化を実現する教育課程編成の在り方 (1)なぜ学校の教育課程が大切なのか (2)教育課程で「主体的・対話的で深い学び」を実現する 2.カリキュラムとしての教育課程編成の手順 (1)カリキュラムとして教育課程を編成する意図とは何か (2)「社会に開かれた教育課程」編成手続きとそのマネジメント 3.カリキュラム・マネジメントの実際とその充実 (1)カリキュラム・マネジメントの進め方 (2)教育課程を機能させる教育評価の考え方とは何か (3)教育課程における教育評価の考え方とその方法 (4)学習指導評価記録としての「指導要録」の考え方 (5)社会に対する説明責任としての学校評価の考え方 4.指導と評価の一体化を目指すカリキュラム開発の進め方 (1)教育活動評価を視座したカリキュラム開発の考え方とは (2)PDCA評価からPDS評価へ (3)「真正の評価」のためのカリキュラム開発とは (4)目標に準拠したパフォーマンス評価とルーブリックの考え方
第U部 学校教育を基礎付ける理論的原理 第4章 学校教育の本質とその理解 1.教育的関係と教育的必然性とは何か (1)教育的関係について考える (2)教育的必然性について (3)子供にとっての学校とは何か 2.人間社会における教育の機能的役割とは (1)社会生活における教育の意味と学校 (2)自律的主体者としての教育的人間 3.教育における人間発達と人格的成長の考え方 (1)教育における発達の意味 (2)発達の過程における発達課題とは何か 4.教育的社会化という用語の意味と子供理解の考え方 (1)教育的社会化とは何か (2)子供を理解するとはどういうことか 第5章 学校教育を支える教育思想を概観する 1.学校教育で教育思想がもつ意味について考える (1)教育思想を学ぶことの意味を考える (2)今日の学校教育に影響を及ぼした教育思想の系譜 2.わが国に影響を及ぼした教育思想の系譜を辿る (1)ソクラテスの教育思想 (2)コメニウスの教育思想 (3)ルソーの教育思想 (4)ペスタロッチの教育思想 (5)ヘルバルトの教育思想 (6)フレーベルの教育思想 (7)モンテッソーリの教育思想 (8)デューイの教育思想 3.教育思想を体現する教育カリキュラムの考え方 4. 教育思想が体現された教育カリキュラムプラン (1)デューイの経験主義教育思想に連なる教育カリキュラムプラン (2)ヘルバルトの教育的教授思想に連なる教育カリキュラムプラン 5.わが国における学校教育の変遷 (1)近代教育制度以降の学校教育の足跡 (2)戦後教育草創期から現代に至る学校教育の足跡 第6章 今日の学校教育が向き合う課題とその解決 1.今日の学校教育が内包する諸課題 (1)現代の子供たちに立ちはだかる理想と現実 (2)学校病理という視点から捉えた諸課題 2.学校教育が向き合う現代的な課題 (1)学校教育における現代的な課題とは何か (2)「現代的な課題」についての指導のポイント 3.現代の学校教育が内包する諸課題 (1)ユニバーサル・デザインを基底にした教育 (2)ユニバーサツ・デザイン化した授業展開へ
第V部 学校教育推進力としての教師論 第7章 「教育は人なり」の本質的理解と教職専門性 1.学校教育を支える教師の自覚とその立ち位置 2.学校教育を基底で支える教師文化 (1)「教え込み型教育」と「滲み込み型教育」 (2) 顕在的カリキュラムに潜在的カリキュラムが及ぼす影響 3.今日の学校に求められる教師像 (1)教師であるということの要件 (2)現代の教師に求められる資質・能力 4.学校教育改革推進力としての教師力 (1)学校幻想論から自立する教師 (2)個人プレーからチーム学校としての「協業」への転換 あとがき 索 引
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